(画像:123RF)
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 政府による創薬エコシステムの活性化策などが功を奏し、大学などの研究成果を基にバイオスタートアップを設立するケースが増えている。本誌でも「ベンチャー探訪」で毎号複数社のスタートアップを紹介しているが、そのペースを上回る勢いだ。「バイオ・ヘルスケアスタートアップ総覧 2023-2024」には、そうした新規の未上場スタートアップを数多く収載した。同書で詳しくリポートした企業201社のうち、設立されてから間もないスタートアップを、幾つか紹介したい。

 2023年7月に設立されたArktus Therapeutics(アルクタスセラピューティクス、京都市、大岩智大代表取締役)は、iPS細胞由来の軟骨組織の研究開発を手掛けている。iPS細胞から間葉系幹細胞(MSC)を作製し、そのMSCから軟骨組織を作り出す。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の池谷真准教授のMSC作製技術と、佐賀大学医学部の中山功一教授の軟骨作製技術を組み合わせて事業化を進めている。

 2023年2月に設立されたBioPhenolics(茨城県つくば市、貫井憲之代表取締役社長)は、独自に育種した大腸菌などの微生物を用いてバイオマスから芳香族炭化水素を生産する、生物生産技術の開発を進めている。芳香族炭化水素は汎用バルク品としてプラスチックの原料などに使われるため数兆円規模の市場があり、プラスミドによる相同組換え法を利用した大腸菌などの育種で、効率的な生産プロセスを開発中だ。

 2022年8月設立のサーブ・バイオファーマ(鹿児島市、山田昌樹代表取締役社長)は、腫瘍溶解性ウイルスの創製プラットフォームを持つ鹿児島大学発のスタートアップだ。腫瘍特異的なプロモーターを用いて腫瘍をターゲティングするのは他の一般的な腫瘍溶解性ウイルスと同じだが、ウイルスゲノムを3つのプラスミドに分けて再構築する手法を編み出したのが大きなポイントだ。増殖力や免疫活性化力、標的特異性などを調整しやすくなっており、様々な種類の腫瘍に合わせたカスタマイズができる。既に第2相まで進んだパイプラインもあり、早くも注目を集めている。

「バイオ・ヘルスケアスタートアップ総覧 2023-2024」
2022年以降に設立した企業の掲載ページは以下の通りです。
Arktus Therapeutics(p.443)、BioPhenolics(p.458)、サーブ・バイオファーマ(p.197)、ファーメランタ(p.317)、Stratoimmune(p.629)など。

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